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音楽解説 | 名曲を訪ねて | 夜想曲 第20番 嬰ハ短調 遺作 |ショパン 

Chopin
~Frederic Chopin~
作品名:夜想曲 ノクターンNo.20 嬰ハ短調 遺作   [ レント コン グラン エスプレッシオーネ ]
Nocturne No.20 [ Lent con gran espressione ]
楽器編成:ピアノ独奏〔オリジナル〕 ・ヴァイオリンとピアノ版 ・チェロとピアノ版
・フルート ヴィオラ チェロ ピアノによるアンサンブル・アンビエンス版〔編曲:柳澤康司
作曲家 :ショパン.フレデリック 1810-49
Chopin.Frederic
作曲年:1830年春(ウィーン)
出版年:1875年1月

ショパンの生前には出版されなかったこの作品は1830年 旅先のウィーンで作曲され、姉ルドヴィカに献呈された。ピアノ・コンチェルトNo.2との共通性もあり、また姉がこのコンチェルトを弾くための予備練習に書いたという説もあり、プライベートな意味合いからも、生前に出版されなかったのだろう、そのために遺作とされるが実際は比較的早い時期の作品なのである。自筆譜には現在広く使われているNocturne(夜想曲)の文字は無くLent con gran espressione(ゆっくり、非常に表情をもって) とだけ記されていたという。ショパンの作品の中でも、とりわけロマンティックで夢みるような甘美さを湛えている。そのためか、初期の出版にあたっては「アダージョ」「想い出」などのタイトルが楽譜の表紙を飾ることもしばしばであったが、後にブラームスの写譜をもとに「レント コン グラン エスプレッシオーネ」としてブライトコプフ社から出版された。自筆譜は1863年に火災で焼失してしまったが、ルドヴィカやバラキレフなどの手による幾つかの写譜が残されていたことは幸いであった。
この作品がノクターンのタイトルになったいきさつはわからないが、ショパンが愛したノクターンという形式を最初に発案したのは、イギリスの作曲家 ジョン・フィールドであった。ちなみに エルスナーの弟子で、同門のショパンに強い影響を与えた女流ピアニストで作曲家のマリア・シマノフスカ〔1789-1831] は、このフィールドからノクターンを献呈されている。

チェリスト 柳澤康司の音楽解説

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音楽解説 | 名曲を訪ねて | 小弦楽四重奏曲 | 尾崎宗吉 

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作品名:小弦楽四重奏曲 作品1
楽器編成:弦楽四重奏 1stヴァイオリン 2ndヴァイオリン ヴィオラ チェロ
Kleine Strichquartett Op.1
作曲家:尾崎宗吉 1915年4月22日〔日本 静岡県舞阪〕-45年5月15日〔中国 広西省全州〕
Ozaki.Sokichi
作曲年:1935年9月(日本)
初演:1935年11月3日(非公式)・11月25日東京音楽協会第一回オーデション公開演奏会 会場:仁寿講堂
初演者:フィルハーモニー クヮルテット
出版:2005年 音楽の世界社
監修:柳澤康司

色彩感豊かなハーモニーと明晰なリズムのバランス感覚。尾崎宗吉の個性ともいえる、こうした際立った作風は、デビュー作となった「小弦楽四重奏曲」にも凝縮されている。
この作品は、1935年の初演以来、日本の作曲家の作品では稀な程、頻繁に演奏会で取り上げられていた人気の曲であった。戦禍の中で所在不明となっていたが、幸運にも1981年に自筆譜が発見された。
小規模だが驚くほどに鮮烈な音楽がここにはある。尾崎の作品が何故、演奏家と聴衆、双方のこころを惹きつけるのか。それは「技術というものは表現しようとする内容を対象とせずには考えられない。」という信念に満ちた作曲家自身の言葉から充分に窺い知ることができるのではないだろうか。
戦争という不安の時代にありながらも、静謐な美しさの絶筆「夜の歌」を遺し尾崎は、再び戦地へ赴く。

第一楽章 Allegro
決然としたイ短調のコードで開始される躍動的な楽章。推進力と広がりのあるファーストヴァイオリンの第一主題、輝かしい三連のリズムの第二主題、高揚するトリルとそれに続くクロマチック(半音階)の急激な下降、更にチェロによる主題の再現によって、活気をもって展開してゆく。

第二楽章 Andante
故郷での幸福な時を回想するかのように、やさしさに満ちた歌が綴られてゆく、きわめてデリケートで叙情的な楽章。

第三楽章 Rondo Scherzando Vivace
ピチカートの導入部分に続き、諧謔的でユーモラスなテーマが提示される。浮遊しているように落ち着かないムードの対照的なメロディーがポリフォニックな手法もまじえて絡み合い、セカンドヴァイオリン、ヴィオラ、チェロへと引き継がれながら執拗に繰り返されるリズムパターンが強烈なコードによって否定される。諧謔的なテーマはしだいに切迫し、突如短いコーダで終結する。

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音楽解説 | 名曲を訪ねて | 鏡より | ラヴェル 

Maurice_Ravel
~Maurice Ravel~
作品名 :「鏡」より第1曲 「蛾」・第3曲 「洋上の小舟」・4曲 「道化師の朝の歌」
Miroirs
楽器編成:ピアノ独奏 ※「蛾」と 「洋上の小舟」はオーケストラのための編曲版もある。
作曲家 :ラヴェル.モーリス 1875-1937
Maurice Ravel
作曲年 :1904-05年ピアノ(オリジナル版)
初演年 :1906年パリ(フランス)

「ソナチネ」に引き続き1905年に作曲されたラヴェルの作品の中でも、とりわけ絵画的な小品集が「鏡」である。それぞれに標題がつけられてはいるが、これらは必ずしも描写的な音楽ではない。心象風景のように、聴くものの内面に問いかけるような、色彩的なムードを喚起させるのである。1901年の「水の戯れ」で定着しそうになったピアノ作品に抱かれる一般のラヴェルへの評価から意図的に逃れるかのように、作曲者はこの「鏡」によって新たなハーモニーとリズムの表現法をさらに推し進めている。

第1曲 「蛾」
夜の帳、その静寂の中で音も無く幻想的に乱舞する蛾の群れ。とても軽やかで表情に富みながら、暗く妖気までも感じさせる作品。“スイスの時計師”とも呼ばれたラヴェルは、この曲にはじまる「鏡」の精緻な音楽表現の世界に、瞬く間に聴くものを惹き込む。

第3曲 「洋上の小舟」
同時期にドビュッシーによって書かれた交響詩 “海”とは、対照的なほどラヴェルの“海”の情景は、刻々とめまぐるしい変化を遂げてゆく。穏やかにはじまりながらも、やがて荒れ狂うような波が現れ、不気味な静寂の中で遠くから響く雷鳴、風景を切り取ったかのように、自然の意図しないストーリーが鮮やかに展開され、耳を傾けていると、大海原に翻弄されながら漂う一艘の小舟の姿が浮かんでくるようである。ここではペダルの繊細な奏法によって、イメージは無限に広がってゆく。

第4曲 「道化師の朝の歌」
作曲者自身がタイトルに、“Alborada del gracioso”とスペイン語による表記をしたことにもうかがえるように、ここにあるのはスペインそのものである。ラヴェルの血に流れるバスク地方のリズムの躍動、燦々と輝く太陽や、道化師の歌や、かき鳴らされるギターの響きなどが、この曲の全体に感じられる舞踏的要素に、絶妙とも言える均整を保ちながら展開してゆく。

チェリスト 柳澤康司音楽解説

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