柳澤康司Art Music研究室 | 清瀬保二 弦楽四重奏曲変ロ調の楽譜監修 柳澤康司|
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これまでに日本人作曲家の室内楽作品の楽譜の監修を幾つか手がけてきたが、清瀬保二の作曲した1951年の作品 『弦楽四重奏曲 変ロ調』の作品監修作業がいよいよ最終段階に入った。楽譜の監修は音楽作品を良好な状態で保存するために古くから行われている作業である。絵画では修復作業といったところだろうかシューマンのシンフォニィを例にとってみると、オリジナルのオーケストレーションでは実際にオーケストラが演奏した場合の響きが良くないという問題を、後の音楽家たちがオーケストレーションに手を加えてより響きの良いスコアにしたり〔マーラーによるものが知られている〕、ワーグナーがベートーヴェンの第九シンフォニィのメロディーラインを補強したように、優れた作品であっても実際の楽器で演奏した時に起きる音響上の問題や、演奏上の不都合などが見つかる場合に行うものであり、作曲家の意図をより明確にして、作品に込められたインスピレーションを崩すことなく、より良い状態に近づける作業であり、あくまでも演奏再現した場合への必要に迫られてのものでもある。
今回の監修は、作曲家による直筆スコア〔総譜〕と、1952年6月6日、第9回新作曲派協会でラモー弦楽四重奏団により初演された時の不完全な写譜屋によるパート譜(日本放送協会JOAKの印のある写譜屋による手書きのもの。)を元に、1982年にソナーレ弦楽四重奏団によって再演されたときに修正が施されたもの、そして再演時に初演後加筆修正されたスコアを照合し、さらに訂正を加え校訂するるという工程を経ている。実際に再演時に演奏で使用されたパート譜にも、未だ多くの検討すべき部分があったため、これらを監修するのは、たいへんやりがいのある仕事となった。 『弦楽四重奏曲 変ロ調』は、清瀬自身が「過去にあった五音音階を近代化し、五音音階にかわるに長短両音階をもってしない。」と語っていた清瀬の直感的音楽思考から来る手法を取り入れ、悠然とした独自の世界を展開している弦楽四重奏曲といえるだろう。武満徹が心酔し唯一の師と仰ぎ、日本の作曲界に大きな足跡を残している清瀬保二の弦楽四重奏曲変ロ調が、いよいよこの2011年夏に、邦人作曲家の楽譜や著作物を多く手がけている音楽の世界社より出版される。
折を見て芸術音楽サロン コンセールパッサージュでは、日本人作曲家の室内楽作品を中心としたレクチャー&コンサートの機会を持ちたいと考えている。~柳澤康司
【柳澤康司の監修作品】
・尾崎宗吉 作曲『小弦楽四重奏曲 Op.1(1935)』 柳澤康司:作品監修 2005年 音楽の世界社
☆国立国会図書館所蔵
・清瀬保二 作曲『無伴奏チェロのための二つの楽章(1973)』 柳澤康司:作品監修 2008年 音楽の世界社
☆国立国会図書館所蔵
~柳澤康司Art Music研究室~
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更新日:2011年6月25日(土) 1:23 AM | カテゴリー:コラム