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エココラム | チェロそれは究極のエコ楽器 

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いつのまにか私たちの生活は音の洪水の中にあり、その音の多くがスピーカーから流れてくる電気的なものです。20世紀に開発されたテルミンやオンドマルトノ、シンセサイザーなどは、現在では電子楽器を代表するものとして、クラシック音楽の楽器の中でも独立した市民権を得ています。一般的には、スタンウエイのコンサートグランドピアノの音をサンプリングしたデジタルピアノなどが家電量販店でも手軽に手に入るようになり、『音』そのものの価値観が変わりつつあるようです。
「耳を澄ますと時々麦畑から倍音が聴こえてくることがあった。」と語ったのは、フィンランドの作曲家ジャン・シベリウスでした。今やアコースティックな音は、電子音に圧倒されてしまっています。そして我々の聴感覚は何処へ向かっているのでしょうか。
電子楽器は、電気がないと機能しません。しかし、クラシック音楽で使われているほとんどの楽器が電気を必要としないのは、自然の素材によって組み立てられているからです。
チェロについて言うなら、表板は松材、裏板や駒は楓(かえで)材、魂柱やバスバーは樅(もみ)材、ペグや指板は黒檀、テールピースはローズウッド等。楽器表面に塗られているニスは様々な樹脂などを独自に配合したもので、それぞれのパーツの接着には膠を使い、木工用ボンドや瞬間接着剤などは決して使いません。弦も20世紀の半ばぐらいまでは、羊の腸をよって作ったガット弦を張っていました。チェロの魅力は、この4本の弦から醸し出される音そのものにあります。それは自然界にあるような豊かな倍音を含んだ、人に優しいアコースティックで美しい音色なのです。
近年、地球温暖化や環境破壊の問題が表面化し、エコロジーという言葉が広く使われるようになりました。。
演奏家が適切に扱い、楽器職人がメンテナンスを続けていれば、300年経っても演奏可能なのですから、21世紀のエネルギー大量消費時代にあって、エコロジーの理想を具現化した、究極のエコ楽器こそチェロなのだと言えるでしょう。

チェリスト 柳澤康司

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